サミラ・マフマルバフ インタビュー No.01  
Q.カンヌ映画祭でも最も重要な部門であるコンペティションに世界最年少の女性監督として『ブラックボード −背負う人−』が選ばれたことをどう思いますか?

私自身、驚いていますし、本当に幸運だったと思います。しかしながら、イランの女性として、また政治や文化の様々な分野で活躍しているイランの若い世代を代表するという意味では、驚いてはいません。国際舞台でイランという国が注目を集めることになるという意味では、誇りさえ感じます。

Q.なぜクルディスタンで撮影したのですか?
またこの映画のアイデアはどこから出てきたのですか?


クルディスタンはイランの一地域です。私の最初の監督作品『りんご』は、イランの首都テヘランを舞台とするものでしたが、第2作はテヘラン以外の地域で撮りたいと思っていました。この作品の準備のため、私はクルディスタンを始め、幾つかの地域を父とともに巡りました。父は旅の途中、様々なアイデアを思いつき、それを私に話してくれました。そのアイデアの一つを私は気に入りました。それが、この『ブラックボード −背負う人−』なのです。

Q.ハラブチェという名前が映画の中で言及されていますが、これはどこにある町ですか?
映画の中で語られている爆撃はどのように起こったのですか?


ハラブチェはイランとの国境に近いイラク領の町です。イラク政府軍は、イラクのクルド人を掃討するために化学兵器を使いました。『ブラックボード −背負う人−』は、そのハラブチェに近いイラクとの国境近くで撮られました。
戦争中にこの地域に埋められた地雷はまだ撤去されておらず、製作時には、どこを歩いたらいいのかを判断せねばなりませんでした。地元の人たちに頼み、安全な場所がどこかを常に教えてもらっていたのです。

Q.この映画は異なる世代についての物語と言っていいのでしょうか?

その通りです。この映画には3つの世代が出てきます。一つは子供たちの世代です。この世代は若さにあふれているのですが、親も頼れずに、毎日を危険な仕事で送らざるを得なくなっています。子供たちは勉強したいのですが、そうする余裕はありません。
次の世代は成人の世代――教師たちです。彼らは知識と経験をもとに他の世代(子供たちと老人たち)を教育しようとしますが、うまくいきません。第3の世代、老人たちは、教師たちが言うことに耳を貸そうとしません。
老人たちにとって、自分たちを変えるにはあまりに遅すぎたのです。彼らは自分の道を行きます。共通 の記憶に心を痛めた彼らは、下の2世代に比べるとより愛国的です。彼らは死を目前にしており、死ぬ 前に生まれた場所に戻ろうとする魚と同様、自分たちの生まれ故郷で死ぬためにイランを出てイラクへと向かっているのです。

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