ストーリー  

背中に黒板を背負った10数名の男たちが山道を歩いている。彼らは爆撃で学校を失った教師たちで、子供に読み書きを教えるために教師のいない村を回っているのである。

若い教師サイードは小さな村を訪ねて教職を探すが、村の人々の反応は冷たい。やがてサイードは移動する老人たちの一団に遭遇する。彼らはイラク領内に住んでいたクルド人で、村がイラク軍の攻撃を受けたため、国境を越えてイラン側に移り住んでいた。戦争が収束に近いという状況の中、彼らはイラク側の故郷の村ハラブチェに戻ろうとしていたのだ。サイードは長老格の老人に教職を申し出て、老人はサイードにイラクとの国境までの道案内を頼む。


別の教師レブアルは、荷物を抱えた子供たちの一団に出会う。子供たちはイランとイラクの間を危険を冒して密輸物資を運んでいたのだった。レブアルは子供たちに勉強の必要を説くが、子供たちは聞く耳を持たない。だが、レブアルの熱意ある説得により、子供たちは次第にレブアルの言葉に耳を傾け、心を開いてゆく。レブアルは子供たちと行動をともにしながら、文字や算数を教え始める。

サイードは、村人たちの中に幼児を連れた女性がいるのに目を奪われる。聞くと、その女性ハラレは未亡人であった。ハラレの父は、娘が未亡人でいることが心配しており、村に戻って娘の再婚相手を探そうとしていた。「自分にも結婚を申し込むことができるだろうか」とサイードは長老に尋ねる。「クルミの樹を持参金として渡せば問題ない」と答える長老。サイードは「自分には財産と呼べるものはこの黒板しかない」と言う。かくして、縁談が成立し、サイードはハラレと黒板を結納金として結婚することになった。サイードとハラレは山道で慌ただしく結婚の誓いをあげる。

サイードは字が読めないハラレに黒板で文字を教えながら旅を続ける。だが、静かな日々は長くはなかった。イラクの国境近くに達した一行は、イラク軍の銃撃にさらされる。激しく巻上がる硝煙と砂埃。かつて彼らの村は、イラク軍による毒ガスの攻撃を受けていた。その恐怖がよみがえり、怯えて逃げ惑うハラレに、サイードは「これは毒ガスじゃない!」と言うが、ハラレの恐怖は消えない。一行は毒ガスを避けるように地面 に這いつくばったまま逃げ惑う。

悲劇はレブアルの一行にも及んでいた。ただならぬ気配を察知した子供たちは羊の群れの中に身を潜めて逃亡を計るが、一人、また一人と子供たちが銃弾に倒れてゆく――。

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サミラ・マフマルバフ(監督)
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