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ストーリー楽しい夏休みが始まった。でも、小学校3年生の正男(関口雄介)の心は少しも弾まない。通いなれた通学路もなんだか他人の町に見えたりする。遊び友達はみんな一家で海へ行ったり、両親の田舎に里帰りしてしまった。サッカー教室もお休みになって、絵日記帳には天気を書き入れたらおしまい。書くことがないのだ。お父さんは正男が生まれてすぐ交通事故で亡くなり、お母さん(大家由祐子)はどこか遠くで働いている。いつものようにおばあちゃん(吉行和子)がパートに出ていった後、正男は冒険旅行の決心をした。目的地は愛知県豊橋市。そこには写真でしか見たことのないお母さんがいるはずだ。絵日記帳と宿題をリュックに入れ、お小遣いを握りしめて、正男は家を飛び出した。 菊次郎(ビートたけし)は根っからの自由人。といえば聞こえはいいが、若い頃から遊び人暮らしが身に付いていて真面目な暮らしが性にあわない。人生なんて思うようにいくわけない、風の向きが変わりさえすれば世間があっと驚くような暮らしをして見せる。そのための元手がままならなくて、今の所はかみさん(岸本加世子)に食わせてもらっているが、いつかはきっとと想い続けて今日まで来た。そんな菊次郎が正男の母親探しの旅に付き合うことになる。「どうせ家でゴロゴロしているだけなんだから、あんた一緒に行ってやんな。」いつだって俺の都合なんてお構いなしだ。「そんなに心配なら自分が行ってやりゃいい。」と言いたいのをぐっとこらえたのは、5万円の旅費。たちまち菊次郎の頭の中で、計画が広がった。正男にすれば小学生の一人旅は心細いし、菊次郎の他に頼る人もいない。顔つきはおっかないし言葉は悪いけど、おじさん、案外人は良さそうだ。 ところが出発するなり競輪場に寄り道。一度は正男のヤマカンで大穴を当て、ドンチャン騒ぎしたものの、気がつけば正男のお小遣いまで使い果たしてすっからかん。頭に来た菊次郎がヤケ酒を飲んでいるうちに、正男はアブナイおやじ(麿赤兒)にいたずらされそうになった。泣き顔の正男にさすがの菊次郎も正気になって、おやじから財布を奪い、真面目に旅をする気に。しかし、どこをどういっていいのやら、夜も遅いのでまずはヒッチハイク。ようやく、スタートしたものの、菊次郎ときたら車を拾う為に、長距離トラックの運転手とケンカしたり、来るはずも無いバスを待ってみたり。てんやわんやで始まったふたりの「少年たち」の母親探しの旅だが、なんとか目的地まで辿り着いたのは奇蹟に近い。 しかしその住所にあったのは名字が異なる表札。遠くから不安そうに眺める正男の前に、幸せそうな幼い少女が両親とともに家から現れる。呆然と眺める正男に菊次郎が言えたのは、「人違いみたいだ」という言葉だけ。落ち込む正男を慰めようとする菊次郎の脳裏にひらめいたのは、ハーレー野郎二人組が持っていた"天使の鈴"。彼らのバイクから鈴を奪って正男に渡す。「お母さんは引っ越してしまっていて、正男が来たらこれを渡してくれって。困った時に鳴らすと、天使が降りてきて助けてくれるって…。」鈴を鳴らしても天使は見えない。 こうなったら徹底的に遊んじゃおう。帰る道中、まずは夏祭で屋台の醍醐味を。とうもろこし畑では盗み食いを。またまた出会ったハーレー野郎たちと作家志望のあんちゃんとはキャンプだ。青く萌える夏の緑の中での"だるまさんが転んだ"や"スイカ割"。ここでは大人も子供も関係無く楽しい時が過ぎて行く。 菊次郎は、旅の始めから心のどこかに潜んでいたある場所に遂に立ち寄ることを決心する。そこは老人ホーム。一人の老女が仲間の老人たちから離れて座っていた。彼女の顔に宿る影は、正男の母親の顔にあったのと同じ子供を捨てた女の孤独な影。声をかけられずに戻る菊次郎…。 それぞれの夏も終わりが近づき、出会った人々との別れの時がやってきた。車は走り、いつもの浅草の風景が戻ってくる。そういえば…「おじちゃん、おじちゃん名前なんていうの?」「菊次郎だよ、バカヤロウ!」 |
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